Booklog:まとめて3冊
2011年7月26日 15:40 - streetcorner (books novel)
『北園克衛詩集』(思潮社)
著:北園克衛
スコットランドへ持って行った3冊のうちの1冊。現代詩文庫の1023巻。北園克衛は昭和の日本を代表するモダニズム詩人だけれど、彼の詩集を真っ当な価格で手元に置くことは現在はできない。「いま/去っていく秋の/ブルーの風/の/なかに/いて/ジャコメッティの/青銅の彫像/の/ように/孤独/の/憂愁/の/直線/の/ブルーの長い影/を曳き/白とブルー/の/縞/にみちた/海/のブルー/を/見ている人の/細い背中/も/ブルーである」。
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『初夜』(新潮社)
著:イアン・マキューアン
訳:松村潔
スコットランドへ持って行った3冊のうちの1冊。ブッカー賞作家の短い長編小説で、川上未映子さん曰く「最高に美しい恋愛小説」。全体の5分の4までは、どちらかというと説明的な地の文章がつづくのだが、残りの5分の1で、抜き差し成らない男女の会話とその後の数十年という時間が流れ、些か手際が良過ぎる気もしたけれど、イーサン・ホークのいくつかの映画(『ビフォア・サンセット』や『痛いほどきみが好きなのに』)を思い起こし、胸がつまった。「ふと気づくと、彼女は訊いていた。『あれはナイチンゲールかしら?』『ブラックバードさ』『夜なのに?』彼女は失望を隠せなかった」。恋愛におけるやり場のなさは、人生におけるやり場のなさでもある。
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『もうすぐ夏至だ』(白水社)
著:永田和宏
スコットランドへ持って行った3冊のうちの1冊。生命科学の研究者で歌人の著者の初めてのエッセイ集。新聞連載からの転載が多いので、全体としては読み易くいくぶん教訓的な手触りがあるけれど、著者の妻であり昨年の夏に亡くなった歴史的歌人、河野裕子との日々をつづった第1章は、やはり胸を打つ。「生きてゆくとことんまでを生き抜いてそれから先は君に任せる(河野裕子)手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が(河野裕子)たつたひとり君だけが抜けし秋の日のコスモスに射すこの世の光(永田和宏)」。河野さんのことは河野さんの本を読んだときに触れることにするけれど、それにしても、短詩型の詩人には、有馬朗人、岡井隆、永田和宏など、第一線で活躍する理系の研究者が多く、なんだか計り知れない頭脳の持ち主もいるものだといつも思う。
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H.


