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Booklog:『さよなら、愛しい人』

2011年6月28日 14:27 - cityside - streetcorner (books novel)

Booklog

『さよなら、愛しい人』(早川書房)
著:レイモンド・チャンドラー
訳:村上春樹

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僕にとってのレイモンド・チャンドラーは、誰がなんと言おうと清水俊二の訳文そのもので、しかも本作は世評に反してあまり好みではないのだけれど、それでも新訳が出れば読まないわけにはいかないのは、村上春樹が本書の「訳者あとがき」で書いている通り、「チャンドラーの小説のある人生と、チャンドラーの小説のない人生とでは、確実にいろんなものごとが変わってくるはず」だからで、これは読書についての一般論のように聞こえるかもしれないけれど決してそうではないということは、チャンドラーの小説を読んでみればわかる。「こんなところは一刻も早く立ち去り、できるだけ遠くに離れるべきなのだ。ところが私はドアを開けて、静かに中に入った。それが私という人間なのだ」「ああ、海兵隊の一個中隊を必要としているよ。しかし結局のところ、自分一人でやるか、あるいはまったくやらないか、そのどちらかしかないんだ。行くよ」。死体を探している場面で「片膝をつくと、布地を通して地面の湿気と冷たさが伝わってきた」なんてことは彼にしか書けないし、とりわけ本作では海の描写が素晴しい。矢作俊彦は、冒頭の写真を廻るプロットを二村永爾シリーズではなく『あ・じゃ・ぱん』に、オマージュとして用いている。

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H.

About Tanaka Hiroto

田中裕人
1980年、東京生まれ。エリアデザイナー、文筆家。慶應義塾大学法学部卒業、専攻は西洋思想史。ソシオミュゼ・デザイン株式会社、醍醐ビル株式会社、醍醐建設株式会社取締役。NPO法人大田まちづくり芸術支援協会運営理事、多摩川アートライン事務局長、他。受賞は、グッドデザイン賞、メセナアワード、日本都市計画家協会賞、等。講義、講演、多数。近著には、『街とアートの挑戦。』(編著、東京書籍)がある。

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Public Comments

春霞、またはキャノーラサラダ油
2011年4月 1日 16:25 -  数ヶ月ぶりに、更新を再開します!再開といっても、前と同じ形に出来るものではありません。途絶えていたのには、それなりの理由と僕なりの問題があるのです。というわけで、即時的、実用的に少しは意味があるだろう、あるいは書かなければならないと思って... [ 続きを読む ]

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