海と緑の街 〜 博多の路上にて
2008年10月 1日 10:17 - cityside - streetcorner (voyage)
先週末、福岡を訪れた。福岡は、類い稀なシチズンシップとディテールの趣味の良さ(デザイナーなきデザインについても同様で、北九州育ちのコミック作家わたせせいぞうの作品世界を思い起こさせる)が光る進歩的な街だ。以下は、簡単なレビュー。
伊東豊雄設計の「ぐりんぐりん」(公園施設)は、運営を指定管理者に丸投げしている現況が何とも勿体ない。URからの定借によって昨年リニューアルオープンしたという旧海の中道ホテル「ザ・ルイガンズ」(ホテル)の完璧さには驚かされた。ルイス・バラガンへのオマージュというコンセプト、過不足のないディテール、都市型リゾートホテルの理想の姿がそこにある。その隣に位置する「マリンワールド海の中道」は、資本投下ではなくスタッフの手による企画の数々が秀逸で、十分に楽しめる。旧福岡県庁跡地に建てられた「アクロス福岡」(複合施設)は、階段状の壁面が4万本の樹木に覆われ、そのタラップを頂上まで登ると13年前にこのランドマークをつくった先見性を思わずにはいられない。セットバックされたファサード、極端に奥まったアプローチ、ファサードから延びる外階段、工夫されたシンボルツリー。大名地区をはじめ、複層的な路面を展開する福岡の街路空間は、エリアデザインにおけるディテールの大切さを改めて教えてくれる。火付け役となった「ナオキクリエイティブ」(ディベロッパー)による建物も、今はその一部であるに過ぎないのだから素晴らしい。パブリックアートの先進的な挑戦であった「ミュージアム・シティ・プロジェクト」。知的障害者によるアート集団「アトリエブラヴォ」によるウォールアートの水準は高く、ニューヨークでも披露されたことが頷ける。アルド・ロッシと内田繁のデザインで有名な「イル・パラッツォ」(ホテル)は、レストランもバーもオススメだ。奇抜でいてヨーロッパの粋な小道のような建築が何ともさっぱりと路地裏にあるのだから、博多っ子が羨ましい。薬院から、ケーキや和菓子の店が点在する山の手の住宅街の坂を抜けると「福岡雙葉学園」があり(だいたい雙葉はいい所にある)、更に進むと急な斜面に突如としてあらわれるのが「福岡市動植物園」(更に進むと丘の頂に「福岡山の上ホテル」がある)。開園から75年を経た園内は何処をとっても懐かしさに満ち溢れ、東京周辺なら「野毛山動物園」といったところだろうか。秋の晴れた日に、こんな動物園でデートをしてみたかった。
東京にあって福岡にないものは四大都市としてのダイナミズムぐらいなものだが、福岡にあって東京にないものは随分と多くあるものだ。などと言ったら、大袈裟に過ぎるだろうか。
H.












