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多摩川アートラインプロジェクト

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「連塾 JAPAN DEEP 1」に出席して

2008年7月22日 09:36 - cityside (life)

連塾2

 エディットリアル・ディレクターの松岡正剛さんが主催する「日本という方法」を巡る勉強会「連塾」に、前回につづいて出席した。今回のテーマは「JAPAN DEEP1・忘れがたい記憶が、いま逆襲。渾身の意表、みな綺麗」、場所は赤坂のドイツ文化会館、岡野弘彦さん(歌人)、押井守さん(映画監督)、井上ひさしさん(劇作家)の3人のゲストスピーカーによる7時間に渡るプログラムが行われた。(前回の様子は「冬至と晦日の催事」を参照。)
 冒頭はいつもの通り、松岡さんならではの連想による進行からはじまった。先ずは、その日(7月5日)が森林太郎が渡欧した日付であるという話。つづいて、テーマである「JAPAN DEEP」について、「表層、中層、深層は常に動いていて、入れ替わっているようだから」「安易にも見えないが、身構えても見えない」という認識。そして、「まれびと」「おもかげ」というキーワードが出された。

 岡野弘彦さんは、和歌とは「和する歌」、「女と神、乙女とまれびとの会話」であったことから、恋歌や挽歌を軽視しては面白くないと言われた。対して、松岡さんは、「伝承にはリアルとバーチャルを超える過剰な加速力がある」、歌を贈る行為には「物思い、物心」、魂を結び合わせる「結びの信仰」があると述べられた。岡野さんが師事した折口信夫(釈迢空)をめぐる話も貴重だったが、何よりも土岐善麿・斎藤茂吉・釈迢空・自作の旋頭歌(五・七・七を反復する和歌)の朗詠が聴けたことだけで出席した甲斐があり、茂吉の東北弁を真似た朗詠には、吉増剛造さんの宮沢賢治の朗読を思い出した。84歳をむかえる氏のこだわりを排した言葉からは言外の奥行きと懐の深さが滲み出ており、宮内庁御用掛はやはりこの歌人でなければならなかったのだな、としみじみと思い入った。

 押井守さんは、「アニメーション映画の制作は家内工業による名人芸だ。かつての手作業的名人芸は絶滅の危機にあるが、CGにも秘技がある。それらはすぐにコピーされ一般化されるのだが、それでもまた秘技が出てくるところが面白い」と言われた。『天使のたまご』『人狼』『アヴァロン』『イノセント』の一場面を観賞した。「某ハリウッド映画に転用されて悔しくないのか!」という松岡さんに、「僕は、表現的・資金的な理由からキャラクターを動かさないなど画面上の情報量を減らしているので、情報量を詰め込むハリウッドの作品を観るとなんだかむしろ恥ずかしい思いがする。ただ、情報量が増え続けた結果の破綻を見てみたいというのもある」と応えた。松岡さんは、押井さんの「中心の喪失・中央集権的な脆弱さというインターネットの特徴と神道的世界観を絡み合わせる」というコンセプトに言及されたが、僕は、押井さんのもう1つのコンセプトである「のりうつり」と、「あちらのものがこちらに、こちらのものがあちらに行き、主体でも客体でもないものが動く」という「JAPAN DEEP」の特徴との関連が興味深い。押井さんは「大した関連はないですよ」と言うだろうけれど。8月2日公開の最新作『スカイ・クロラ』が楽しみだ。

 井上ひさしさんからは、「ヤギには感情がないから物理的条件を同じくすると選び取ることが出来ず、等距離の左右にエサを置くと死んでしまう」という話にはじまり、演劇や言語をめぐるさまざまな方法論が澱みなく提出された。話題が完成され、言葉に澱みがない分、相互誘発的なライブ感は薄かったように思う。「言葉をふんだんに」と言われ、差別用語について「言葉を無くしたからといって、実体はなくならない」と抵抗感を示しておられたことが印象に残っている。『きらめく星座』『天保十二年のシェイクスピア』の一場面を観賞した。

 長時間に渡るこのようなプログラムは、松岡さんの「瀬を跨いで聞こえてくるもの、越えてくるものが、『瀬音』であり『おもかげ』です。『JAPAN DEEP』を捉えるには、こちらとあちらを固定せず、動いていないとダメだということは確かなように思います」といった言葉で締め括られた。今回の3人のゲストスピーカーは、いずれも実作として僕が影響を受けた人物ではないけれど、それでも第一線の奥行きの深さと現代に対する問題意識に触れることが出来た貴重な1日だった。

H.

About Tanaka Hiroto

Self-Consciousness:
エリアデザイナー、活動家、小説家
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エリアデザイン、市民活動、企業経営
Lifework:
海、アート
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散歩、写真、ピクニック
Longing:
FMのナビゲーター、海賊

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