インドシナ半島の路上にて(2)
2007年11月29日 18:17 - streetcorner (voyage)
6年ぶりに訪れたバンコクは都市成長の最終段階に仲間入りしつつある、つまり産業構造が変わりつつあるというのがその印象だった。都市のフォルムは殆ど変わっていないのだが、女性のファッションはハイレベルにモード化し、道端の人々の服装も小綺麗になり、車はぴかぴかになり、ゾンビのように徘徊していた野犬は殆どいなくなり、噴水から漂う下水の匂いもなくなっていた。そして、身なりのいい欧米人が増え、どこの店に入ってもワインが飲めるようになり、生活コストは日本の地方都市と同等かそれ以上に掛かるぐらいになっていた。アジア危機以降、決して景気がいいとは言えないバンコクだが、上海、ソウルに続き、次の産業モデルにシフトしてゆく過程にあることは明らかだった。
大富豪に招かれたゲストハウスは、ジャングルのような屋上庭園の中にあった。地震のない国ならではの芸当だ。巨大な肺魚やシカ、どこかの遺跡から剥がしてきた仏像、美しい女の子たち、生演奏付きのディナー。まるで007のヒールだった。/ゲストハウスの執務室のデスクの上には、見事な木彫が横たわっていた。他のサービス施設の充実に比べ、文化施設や文化教育はまだまだというのがこの都市の印象だ。
大使館をコンヴァートしたタイ料理のレストランは、洗練された地元のビジネスパーソンや欧米人で賑わい、日本でいうキャンティやバンドホテル等のかつての社交場を想起させた。今や、バンコクのレストランのどこででもワインを飲むことが出来る。/シャングリラホテルの川沿いのバーで。チャオプラヤー川を挟む一画にファイブスターホテル密集地があり、渡し船が航行している。シャングリラ、オリエンタル、ペニンシュラ、シェラトン、ヒルトン。昼間はお世辞にも美しいとは言えないチャオプラヤー川(しかし、美しくなる日も近いだろう。)のもう1つの顔を見ることが出来た。
1つの工業団地が、東京の1つの区よりも大きい。工業団地の入り口にはクラブハウスがあり、ゴルフ場がある。ゴルフをしない僕にはどうでもいいことなのだが、プレーヤー1人に付きカート1台、キャディー4人が用意されるそうだ。
2年前に新しくなった国際空港は、トランジットに時間が掛かる等の評判は聞いていたが、カーゴ部分も含め、概ね美しく、機能的で、アメニティも充実していた。かつて、ゲーム機が置かれた暗い喫茶店で鬱々とトランジットを待っていたことが懐かしい。しかし、この空港以外のインフラ、特に高速道路の位置と工法と思想は酷くチープで、日本と同様に、やがて後悔する日が訪れることは明らかだった。アジアの都市の多くは、どうしてこうも同じ轍を踏むのだろうか。
H.










