水の中のテニスコート
2007年9月10日 22:55 - cityside (life)
先日の台風9号がもたらした具体的な被害の数々と結び付くと
なんとも不謹慎で、戸惑うのだけれど、
記録破りの台風や大雪への警戒が報じられると、
未だにワクワクする心持ち、高揚感をどうしたって隠し切れない。
(というか、はしゃぐ。)
それは、朝、目が覚めたら世界が一変していることへの子供じみた、
けれども本質的な期待だ。
台風が来る 景色が変わる
台風が来る 記録破りだ
気象衛星「ひまわり」でさえ
観測すらもできないやつだ (『台風』作詞・作曲:真島昌利 歌:ザ・ブルーハーツ)
などと言ったところで、大抵は期待外れの予定調和に終わるのだが、今回は違った。
多摩川の水位は道路や鉄橋のすぐ下にまで到達し、土手という土手、
その中にあるゴルフの練習場、野球のグラウンド、
テニスコート、遊具や樹木の全ては水の中に沈み、
川沿いには、まるでメコン川の畔で国境を隔てた対岸を眺める国境警備隊のように、
警察車輛や見物人が列をなした。
日常と隣り合わせの天災を知らない高度成長以降の都市に育った僕は、
子供の頃、台風が来る度に、多摩川が反乱して学校が休みになり、
浸水した近所をゴムボートを漕いで行き来をすることに憧れたものだったけれど、
まさに、その一歩手前の状況となった。
ところで、それを遡ること10数時間前、
台風らしいむわっとした風が激しく向きを変える中、
多摩川アートラインプロジェクトの作品制作の相談と大田ブランドの取材を兼ねて、
羽田付近の工場を見学をしていた。
(その途中に、飛行機の離着陸が制限されたことが見て取れた。)
訪問した工場は、以下の3件だった。
1)株式会社キャデット
... 製造用器具の部品からディズニーランドの街灯までを手掛けるアルミの鋳造工場
2)株式会社北嶋絞製作所
... ロケットの噴射口、東京タワーのアンテナ等の製造を担う唯一無二の金属絞の工場
3)株式会社気球製作所
... 世界のシェアの大半を占めるという気象観測用の気球を製造する工場
気球製作所の石川取締役は、台風間際の空を見上げて、
「こんな日には沢山の気球が飛んでいるんですよ。」とおっしゃった。
普段から懇意にしている皆さんの作業着姿を見ることが出来たのが、何よりも誇らしかった。
駅や公園や集会施設といったパブリック・スペースに、
アーティスト、デザイナー、建築家と町工場の要素技術との共同作業によって生まれた
彫刻やファニュチャーや遊具を少しずつでも増やし、
クリエイションの多様なパートナーの1つである要素技術の見本市さながら、
世界に発信出来たなら楽しい。
H.





