ミント・ジュレップの季節
2007年6月 7日 11:00 - cityside (bar)
夏の、いや、初夏のお酒といったら何だろう?
ビール? カンパリソーダ? ギムレット? シャンパン?
それとも、、、?
先ずは、ビールだが、個人的には年々、ビールの消費量が減っている。
体質の所為かもしれないが、年齢を追う毎に、飲んだ後の気怠さが気になり出して来ていて、
飲んでいる最中にも、アルコール特有の一瞬の明晰さのようなものがないのだ。
カンパリソーダは、何処にでもあり、しかも何処で飲もうが出来映えに大差はなく、
アルコールの量も調節出来るので便利だが、
寺尾聰作曲、松本隆作詞の『渚のカンパリ・ソーダ』という
メロウなドライヴィング感が素敵な名曲にある通り、
やはり、このお酒は真昼のプールサイドで飲むのに限る。
逆に言えば、都会の夜には少し無理がある。
「ギムレットにはまだ早すぎるね。」(清水俊二訳『長いお別れ』)
レイモンド・チャンドラーが生んだ探偵フィリップ・マーロウがいなくても、
やはり、ギムレットは特別なカクテルだったろう。
しかし、その特別さ故に、酷く限定的でもある。
ある晴れた夏の日の夕暮れの遅い時刻に、行き慣れた店で、
深いところでフィーリングの繋がった相手と、そこに至るまでのストーリーを思いながら、
それでいて、実にあっさりと飲む為にだけ存在する飲み物だ。
もちろん、それだけにお酒の出来そのものも、重要になってくるわけだが、
まともなギムレットを出す店というのは、ほとんどない。
上等なシャンパン(アラン・ロベールや、ボランジェRDといった)も、本来は限定的だ。
精神性の共有にまで辿り着く為には、
華美に記号化された儀式の枠を乗り越えなければならないという分、寧ろ、ギムレットよりも難しい。
ギムレットの意義が、一義的にも、夕暮れにおける精神性の共有にあるのに対して、
シャンパンの本領は、やはり夜中であり、祝祭性の共有にあると言ってしまっていいのだろうか。
フランスでは「シャンパン1杯で、ベッドが30センチ近付く」と言うらしいが、
僕の場合は、ついつい飲み過ぎてベッドを通り越してしまう。困ったものだ。
というわけで、僕はミント・ジュレップを選ぶ。
これならば、一掴みのフレッシュ・ミントさえあれば、何処ででもつくれるし、
相手にも、時間帯にも、左右されずに済む。
そして、実はもう1つ、より個人的な定番がある。
ダイキリの原型となった、キューバの漁師の飲み物、
ラムとライム・ジュースとフレッシュ・ミントのロングカクテル、モヒートだ。
僕は、夏が近付くと、横浜の山下公園近くのバー「スリーマティーニ」に行き、これを注文する。
そのまま、ホテルニューグランド(もちろん、本館のシングルルームがベター)に泊まり、
翌朝、汽笛の音で目を覚ます、なんていうのは最高だね。
一度、試してみて欲しい。
「とけかけの氷を右にまわしたりしずめたりまた夏が来ている」(加藤治郎『マイ・ロマンサー』)
ー ー ー ー ー
『THE BAR RADIO COCKTAIL BOOK』によると、
Mint Julep (ミント・ジュレップ)
バーボン・ウィスキー ……… 45ml
砂糖 ……… 1/2tsp
ウィスキー、砂糖、ミントの葉をグラスに入れ、ミントをつぶしながら砂糖をとかす。
クラッシュド・アイスを詰めてステアし、ミントを飾る。
H.





