羊と踊る夢
2007年6月23日 12:17 - cityside (life)
どこかの外国のコロニーにあるキャンプのようなヨーロピアン・ホテルに、
友人や知人100人ばかりと滞在し、
中庭に面したレストランで、三々五々、夕食をとっていた。
辺りには、ムワッとした湿気を帯びた空気が漂い、
女性はラフなサマードレス、男性はドレスシャツ1枚という格好で、
その気怠さをワインとともに楽しんでいる、といった雰囲気の中、
ダンスタイムを知らせる音楽が鳴った。
人々は、バンドと照明とによってダンスフロアと化した中庭へと迫り出し、
僕も、怖ず怖ずとそれに従った。
どうやら、町のダンスコンテストが始まったということらしい。
僕は、旅の疲れとアルコールと音楽による軽い高揚感の中、ごく自然な形で羊とペアを組んだ。
知人のアート・ディレクター(年輩の女性だ)が日本から連れて来ていた、
ディナーの最中は、つまらなそうにテーブルの脇でうずくまっていた羊。
その彼女(たぶん彼女なのだろう)がスックと立ち上がると、駆け出しながら僕に手を差し出し、
同じく駆け出していた僕がそっとその手を取った、というわけだ。
2人は、まずワルツを踊り、
3曲目になる頃には、中庭はもうすっかり僕たちの世界となっていた。
羊は立ち上がっても、僕の肩ぐらいまでしか身長がなく、
途中から、僕は手ではなく、両耳を軽く持つことにしたのだが、
羊のステップは軽く、僕たちの息はぴったりと合っていたから、リードはそれで充分だった。
思い返してみれば、
僕たちは、実際には一言も言葉を交わさなかったのではないか。
しかし、2人の意思の疏通は完璧なもので、
僕には、彼女が何を考えているのかがハッキリと解ったし、
彼女もまた、僕が思い浮かべる言葉を、的確に理解していた。
あるいは、羊にはしゃべる機能がなく、
僕たちは、何か別の形で、言語によるコミュニケーションを行っていたのかもしれない。
課題曲が、ジルバになり、ツイストになった頃には、
気付けば人々はもう踊ることを止めており、その視線は一心に僕たちに注がれていた。
少しためらってから、暗に優勝を告げるスポットライトの中を、
僕たちは、公転軌道に乗った2つの惑星のように、スムーズに踊り続けた。
ー ー ー ー ー
と言うのが、この間見た夢の話。
※ イラストは、アーティスト、渡辺元佳くんによる羊型ファニュチャーのデッサン。
H.



